映画学校最終学年、撮影コースを専攻することにした僕がまず選んだのは、照明機材屋で一ヶ月のインターンシップ。だが8月のバカンスシーズンだったため、撮影そのものが非常に少なく、せっかくのインターンといっても暇で暇で、卓球の腕だけがメキメキと上達した。それでも、あんな映画やこんな映画を照らしてきた大きな照明機材を眺めているだけで、何となく映画に近づいているような気がした。

撮影のたび、機材屋と隣接するスタジオの前がトラックで埋まる。暇な時間が多かったお蔭で、ふらふらと潜入しては技術者たちと立ち話をした。そうしている内に良い出会いがあって、某局のテレビドラマの照明研修生として採用された。
機材屋から現場へ。フランス映画技術者の通る、当たり前の道。この過程で僕に最も強い印象を与えたのが、食事の変化だった。機材屋の隅には小さなキッチンと冷蔵庫があり、各々が自腹で食料品を持ってきてこれを調理し食む、というスタイルをとっていた。これに対し、現場では食事専門のトラックがやってきて料理を振舞ってくれるのだ。

撮影初日、食事のテントの中で僕を迎えたのは、6種類のサラダと無数のチーズ、飲み放題の飲料水にワインであった。それだけでも感無量だというのに、6種類全てのサラダを頬張ってなお余力ある僕のところへ、忘れもしないシェフの一言…。
「うさぎと魚、どっちがいい?」
うさぎ?うさぎ?
シェフはフランス南西料理の専門家で、うさぎを料理を得意とするという。そういえばフランスのスーパーには、皮を剥がれたうさぎが売られていた。あれを食べるのか。迷わずうさぎを注文すると、クリームソースが上品な肉料理。これが、うさぎ。料理の名は忘れたが、とにかく美味しくて、汁まで飲んだ。
さらにこの後、フルーツのタルトとコーヒーで食事は終わった。
テントの中、興奮しているのは僕だけであった。「お前、ちっこいのによく食うなぁ」と呆れられるほど、慣れ切ったスタッフはこの食事に感激しない。うさぎも魚も無視して、別にステーキを注文している人もいれば、遠出してマクドナルドを買ってきた人までいるではないか。
プロになるまでの道のりは長いな…。そんな階級差を肌で感じた、スタジオ前のテントの中。初日の午後、食べすぎで思うように動けなかったのは言うまでもない。

照明技師の研修生として参加した、エジプト歌手ムスタファのPV撮影・その1
撮影のたび、機材屋と隣接するスタジオの前がトラックで埋まる。暇な時間が多かったお蔭で、ふらふらと潜入しては技術者たちと立ち話をした。そうしている内に良い出会いがあって、某局のテレビドラマの照明研修生として採用された。
機材屋から現場へ。フランス映画技術者の通る、当たり前の道。この過程で僕に最も強い印象を与えたのが、食事の変化だった。機材屋の隅には小さなキッチンと冷蔵庫があり、各々が自腹で食料品を持ってきてこれを調理し食む、というスタイルをとっていた。これに対し、現場では食事専門のトラックがやってきて料理を振舞ってくれるのだ。

照明技師の研修生として参加した、エジプト歌手ムスタファのPV撮影・その2
撮影初日、食事のテントの中で僕を迎えたのは、6種類のサラダと無数のチーズ、飲み放題の飲料水にワインであった。それだけでも感無量だというのに、6種類全てのサラダを頬張ってなお余力ある僕のところへ、忘れもしないシェフの一言…。
「うさぎと魚、どっちがいい?」
うさぎ?うさぎ?
シェフはフランス南西料理の専門家で、うさぎを料理を得意とするという。そういえばフランスのスーパーには、皮を剥がれたうさぎが売られていた。あれを食べるのか。迷わずうさぎを注文すると、クリームソースが上品な肉料理。これが、うさぎ。料理の名は忘れたが、とにかく美味しくて、汁まで飲んだ。
さらにこの後、フルーツのタルトとコーヒーで食事は終わった。
テントの中、興奮しているのは僕だけであった。「お前、ちっこいのによく食うなぁ」と呆れられるほど、慣れ切ったスタッフはこの食事に感激しない。うさぎも魚も無視して、別にステーキを注文している人もいれば、遠出してマクドナルドを買ってきた人までいるではないか。
プロになるまでの道のりは長いな…。そんな階級差を肌で感じた、スタジオ前のテントの中。初日の午後、食べすぎで思うように動けなかったのは言うまでもない。
エジプト歌手ムスタファのPV
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